日本薬物動態学会第12回ショートコース開催にあたって

 日本薬物動態学会(JSSX)第33回年会の初日となる2018年10月1日(月)に,第12回ショートコース(SC)を金沢市 石川県立音楽堂にて開催いたします.これまでSCはワークショップと共催(WS/SC)で春に開催しておりましたが,2018年からは秋のJSSX年会と共催でSCのみを開催することとなりました.
 ご存じのように,WS/SCは製薬企業の医薬品開発に関するテーマを取り上げてきました.2018年のSCはJSSX年会との初の共催であり,年会の発表や企画との重複を避け,且つ多くの参加者に幅広く興味を持っていただけるテーマを取り上げたいと考えました.そこで,企業研究者の関心の高さと切り口の多さから今回のSCのテーマを「医薬品開発におけるDDI評価の現状と展望」とし,基礎から臨床それぞれのステージで行われるDDI評価・予測を網羅した内容にしたいと考えています.具体的には新規技術も含めたin vitro試験及び動物試験でのDDI評価方法やその定量的な予測,モデルに基づくDDI予測やその承認申請対応の事例などが挙げられます.言うまでもなく,薬物動態研究者の強みはデータに基づく定量的な予測にあります.今回のSCでは各演題を通じてその理解が深まるとともに,その強みを更に活かすことにつながればと思います.また企業研究者の立場から言えば,臨床DDI試験の実施は必要最小限にしたいとの思いがあります.既に生理学的薬物動態(PBPK)モデリングによる臨床DDI試験回避への貢献は広く浸透しており,PBPKモデルに基づく予測結果が添付文書にも記載されています.また,一部の企業では第Ⅰ相試験において内因性バイオマーカーの変動を測定し,DDI予測に利用されているとも伺っています.現時点ではこれらの情報だけで臨床DDI試験を完全に回避することは不可能ですが,より効率的なDDI評価・予測を行うための戦略立案に役立つ情報も,今回のSCで交換できればと思います.
 今回のSCでは,医薬品開発における創薬段階,臨床段階,承認申請時の各ステージにおける実際のDDI評価の実例を募集し,更に規制当局側からのフィードバックも交えて,DDI評価の現状と展望を幅広く勉強できる有意義な場になることを期待しております.日進月歩する新しい知見や技術を貪欲に取り入れようとする冒険心は薬物動態研究者の核となるものです.今回,JSSX年会との共催という新たな船出を切ったSCですが,例年通り研究者によるフランクな議論ができる会合ですので,多数の皆様のご参加を心からお待ちしております.また,講演にご協力いただける先生方にもこの場を借りて厚く御礼申し上げます.

実行委員長 今若 治夫

実行委員長 今若 治夫
(小野薬品工業株式会社 薬物動態研究部)